久しぶりに実家に帰ったとき、押し入れの奥から思いがけない宝物が姿を現した。昔使っていたガラケー。ほこりを払い、おそるおそる電源ボタンを押すと、液晶画面がぼんやりと青白い光を放ち、あの頃の写真が現れた。粗い画質に思わず笑みがこぼれる。でも、その荒さが逆に心を揺さぶるのだ。
友達と無邪気に笑い合う瞬間や、公園で遠巻きに撮った暴走族の姿、川崎駅前で酔いつぶれた見知らぬ人の姿。どれも鮮明とは言えない画像なのに、鮮やかな記憶を呼び起こしてくれる。最新のスマホで撮る高精細な写真も素晴らしいけれど、このガラケーの写真には特別な温もりがある。時間を閉じ込めたタイムカプセルのように。
そんな写真を眺めていると、ふとした思いが湧き上がった。「あの頃の”エモさ”をもう一度体験したい」。そんな気持ちに導かれるように、KodakのFZ45とFZ55というカメラにたどり着いた。レトロな佇まいとシンプルなデザインに、どこか懐かしさを感じて心が躍る。
…と、熱心に調べ上げたものの、結局手にしたのはSONYのZV-1だった(笑)。不思議な選択に思えるかもしれない。その理由は後で話すとして、せっかくFZ45とFZ55について調べた情報は、きっと誰かの背中を押すきっかけになるかもしれない。あなたにとって、それが特別な一台になるかもしれないから。
Kodak FZ45/FZ55に惹かれた理由
あのガラケー写真に宿る特別な魅力を感じる人はいるだろうか。少しぼやけていて、色合いも独特で、ノイズまで混じっている…でも、それがいい。思い出が凝縮されて、感情までもが写り込んでいるような感覚。
KodakのFZ45とFZ55を初めて目にしたとき、胸の奥でかすかな鐘が鳴った。「これだ」という確信。シンプルなフォルムと懐かしさを感じさせるデザインは、まるで記憶の中のカメラのよう。指先でシャッターボタンに触れるだけで、あの頃の感覚が甦るような気がした。このカメラで切り取る世界は、きっと特別なものになると心が囁いていた。
FZ45/FZ55徹底調査
好奇心に導かれるまま、FZ45とFZ55について深く調べてみた。仕様や特徴、使い手たちの声に耳を傾けながら。
両機種とも1635万画素の解像度を持ち、フルHD動画の撮影も可能だということがわかった。窓から差し込む午後の光のように、少しずつ理解が深まっていく。
最も大きな違いは、ズーム性能と電源だ。FZ55の方がより遠くまでズームできる一方、FZ45は単三電池で動く。これは思いのほか心を惹く特徴だった。突然の電池切れも、コンビニで手に入る電池があれば安心。充電を忘れがちな私には、小さな安心感をくれる。
大人数での旅行先で、限られたコンセントを気にせず写真が撮れる気軽さ。それは私のような控えめな性格の人間にとって、何よりの魅力かもしれない。
レビューを読み進めると、「バッテリーの持ちが気になる」「暗所でのノイズが目立つ」といった声も目についた。でも、最新のスマホと比べること自体に無理があるのだろう。それぞれの道具には、それぞれの良さがある。
「操作がシンプル」という声がある一方で、「メニュー画面が見づらい」という指摘も。これは使い手の手に馴染むまでの小さな試練かもしれない。
気がつけば、コンパクトデジタルカメラの新製品はめっきり減っていた。スマホのカメラ性能が飛躍的に向上し、vivo 100x proのような驚異的な機種が登場する中で、コンデジの居場所が少しずつ狭まっている現実。
それでも、スマホでは得られない独特の感触や体験がある。Kodakのカメラは、そんな繊細な違いを大切にする人の手に寄り添うものなのかもしれない。
なぜ、SONY ZV-1を選んだのか?
FZ45とFZ55の魅力に心惹かれながらも、最終的に私の手元に届いたのはSONYのZV-1だった。矛盾しているように思えるかもしれないが、ZV-1の持つ鮮明な動画画質と自撮りの手軽さ、様々な便利機能に心が傾いていったのだ。
言い訳めいて聞こえるかもしれないが、FZ45とFZ55にも少し気になる点があった。暗がりでの画質や、バッテリーの持続性能などが頭をよぎった。
それに、13年間も連れ添ってきたFUJIFILMのX-T1というミラーレス一眼がある。長い時間を共に過ごした相棒には、言葉にならない愛着がある。だからこそ、新しいカメラは違った個性を持つものがいいと感じていた。
こうして、ZV-1とX-T1という二台の異なる個性を持つカメラと共に歩む日々が始まった。それぞれが違う風景を見せてくれる、そんな贅沢な日常。
でも、やっぱりFZ45/FZ55も気になる!
それでも、FZ45のことは時折思い出しては、心がざわつく。特に、乾電池で動くという安心感。リチウムイオン電池の持つ不確かさ—劣化や膨張、稀に起こる発火の可能性—と比べると、単三電池の素朴な信頼性が魅力的に映る。
最近、Panasonicから新しいコンデジ(LUMIX TZ99)が発売されたものの、価格は6万円前後。もっと手の届きやすい価格のコンデジは、もう市場に現れないのだろうか。小さな期待を胸に抱きながら。
もし私がFZ45を手に入れるなら、充電式のニッケル水素電池を味方につけ、予備の電池も常に携帯するだろう。こまめに電源を切り、できるだけ光の豊かな場所で撮影する。そんな小さな心がけで、もっと長く一緒に過ごせるかもしれない。
FZ55の作例については、マスプロ電工のメディアが参考になった。撮影された写真を見ていると、その魅力が静かに伝わってくる。
▶︎ コダックFZ55で撮影してみた 作例、撮影モードを紹介
FZ45とFZ55、どちらがあなたの心に寄り添うカメラになるかは、あなた自身の感覚に委ねられている。
初心者の方、予算を抑えたい方、乾電池の安心感を求める方、小さな世界を写し取るマクロ撮影を楽しみたい方には、FZ45が寄り添ってくれるだろう。
遠くの風景を切り取りたい方、充電式バッテリーを好む方、洗練されたデザインに惹かれる方には、FZ55がきっと良き友達となる。
スマホとは違う、カメラを手に取る特別な感覚。シャッターを押す瞬間の小さな高揚感。そんな体験を大切にしたい。
静かな誘いかけのように問いかけたい。あなたも一緒に、心に残る特別な一枚を、Kodak FZ45/FZ55で切り取ってみませんか?そこには、デジタルでありながらも、どこか温かみのある世界が広がっているから。